[コメント] 女が階段を上る時(1960/日)
成瀬作品の中ではそれほどよい部類には入らない。たとえば高峰秀子が「階段を上る時」はもっと過剰なぐらいに印象的に演出してもよかったと思うし、仲代達也にはもうちょっと頑張ってほしい。でも、まあ、面白い。とりわけ加東大介のキャラクタが興味深い。
(私にとっては)物語の訴求力にいささか欠けるきらいがあるのだが、ほとんどがバーや夜の場面で占められるこの映画は、撮影玉井正夫・美術中古智・照明石井長四郎(猪原一郎もクレジットされていますが)の黄金トリオの傑出した仕事ぶりを堪能するにはもってこいの作品だ。しかし、よいのは室内・夜の場面に限らない。たとえば高峰が加東の奥さんに会うシーンの空間把握なんて途轍もない(子供が三輪車で空き缶を引きずりながらぐるぐる回ってます!)。と考えていくと、やっぱりこれも傑作ではなかったかと思えてきてしまう。そこが成瀬の凄いところ。
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