[コメント] 水の娘(1924/仏)
冒頭は運河を行く船。船上をカトリーヌ・エスランが歩く。この船が異様に長く(航行する船の舷側がフレームから切れない!)、まず目を引く。続くエスランが叔父から襲われる場面では、すごいクローズアップが使われる。ピンボケするぐらいのアップなのだ。
中盤はチャップリン的なコメディ演出がちょこちょこ見られる。家屋の二階の出窓の柵に体重をかけ、ハラハラさせたり、水桶の枠に足をかけていて、桶にはまる、とか。あるいは、逃亡シーンで、突然、採掘場の急斜面を滑り落ちるとか。
あと、特筆すべきは、豪雨の夜の、幽体離脱シーケンス。こゝはシュールだ。これって有名サイレント映画でよく見るパターンで、皆これをやりたかったのだろうと思うが、二重露光や高速度撮影、フィルムの逆回転、ネガ反転と思えるほどの露光オーバー、というような画面が繰り出される、本作のこの夢のシーンは、ちょっと突出している。
という訳で、ルノワールが、いろんなことを面白がってやっている様子がよく伝わる初期作だが、まだ、ルノワールらしい縦構図を意識させる画面はほとんどない。
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