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[コメント] 怒り(2016/日)

李相日の『神々の深き欲望』。あ、俺、それ観てねーや <なんじゃそりゃ!(怒)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フザケタこと書いてますけど、今村昌平的なものを感じたことは事実なんです。南の島だから『神々の深き欲望』とか言ってるだけなんですけどね。

何がイマヘー感かと言うと、3つのエピソード全て“性”が関わるんです。 それは決して無駄な設定ではなく、重要どころか、その設定がないと話が始まらない。 この“陰”の部分が、イマヘーが描いてきた日本の土着性に通じる(その現代版)のように思えたのです。

そして私は、この映画で描かれる3つのエピソードが「信頼」の物語のように思えるのです。 信頼を失う(裏切られる)者、自ら信頼を手放す(信頼できなくなる)者、一度は疑ったものの再び信頼を取り戻す者。それぞれに、叫び、泣き、自信を持つに至る物語なのです。あのラストのアオイタンの顔ったら! どんなに世界が理不尽でも、人と人との関係は信頼の上に成り立っている。それはもう、何だか哀しい人間の“業”のようなもので、それもまた現代的な今村昌平感がすると思いませんか?思いませんか。あーそうですか。

余談

李相日って、天才型の監督ではないと思うんですね。奇抜なことをせず、着実にリアルな画面を積み重ねる印象。演出はかなり執拗だそうですが、粘着質な画面を撮るわけでもない。 で、今回の映画で気付いたんだけど、この努力型(と言っていいのかな?)監督は、天才役者が好みなのかもしれない。いや、執拗な演出に応えられるのが天才役者しかいないのかもしれない。

「豪華俳優陣」の一言で済ませられちゃいますけどね、この映画のメイン俳優達、超絶巧いと思うんですよ。ブッキーなんて本当にその気の人にしか見えないしね。こんな押し出しの強い演技をするアオイタンも珍しいしね。高畑充希や池脇千鶴をチョイ役に使っちゃうしね。渡辺謙なんか、あんなシーンのためにフォークリフトの免許を取ったそうですよ。デ・ニーロか。マツケン、綾野剛、森山未來らが醸し出す“ほんの少しだけ”の異質感とか。あと、広瀬すずが青い海にいたら、そりゃ惚れるわ。映画に誘うわ。そりゃ当然の流れですよ。お前は悪くない。

(16.09.18 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞)

(評価:★4)

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