[コメント] 妻として女として(1961/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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お話は辟易するぐらい嫌らしいもので、本作を好きになれない人も多くいるのだろうが、画面の映画的な躍動を楽しむという観点では成瀬の中でも最も面白い映画だと私は思う。もう冒頭の遮断機のある風景から見事なスコープサイズの連続だ。また高峰の回想シーンと淡島の回想シーンとそして現在のシーンが切れ目無く連続するという意表つくシーン構成は特筆すべきだろう。或いは例えば大沢健三郎と星由里子が車の話をした直後に湖の前のオープンカーに繋ぐ等随所で人物の科白に導かれるイメージのカッティングがあり、これもとても面白い。
しかし、私がこの映画で一番気に入っているのは高峰が飯田蝶子と唄のかけあいをするシーン、そして飯田蝶子と二人だけのシーンでの高峰の伝法な科白回しだ。「わたしの渡世日記」等、高峰秀子の文章を読んだ時に感じる彼女の素顔の印象に非常に近い。
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