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[コメント] アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015/英=南アフリカ)

事件現場の舞台はナイロビ。フラフープを作ってやる父親。庭でフラフープをして遊ぶ娘。オープニングからフルショット主体の人物描写がいい。
ゑぎ

 この庭の隣家に、イスラム武力勢力アル・シャバブに潜伏している英国人女性テロリストがやって来る。これが標的。建物の中では、別のメンバーが自爆テロの準備をしている。この現場の爆撃を指揮するのがロンドン近郊の基地にいる英軍大佐のヘレン・ミレン。ドローン映像を見ながら、実際に爆撃のオペレーションをするのはアメリカ軍基地のアーロン・ポールフィービー・フォックス。また、ハワイのパールハーバーには顔認証の専門家が待機する。仰裁に関しては、ヘレン・ミレンがディシジョンを仰ぐ将軍にアラン・リックマン。リックマンはさらに閣外大臣ジェレミー・ノーサムらの判断を仰ぐ必要がある。さらにさらに作戦決行の責任を皆が回避し上申することで、時間を使う。閣外大臣は外相イアン・グレンを、外相は米国務長官マイケル・オキーフのOKが必要だと言う。

 これらの人物を見事にさばいて描いて見せるが、この、やゝかったるい展開に平行してクロスカッティングされる、現場工作員バーカッド・アブディと、隣家の娘の場面は素晴らしい緊張感だ。本作の一番の見どころは、ドローン映像(ドローンの見た目)と、現場における客観ショットとのカッティングの妙、これによるスリルの醸成ということになるだろう。帰結の選択とエンドクレジットのバックに映る映像も、とても納得性のあるもので、唸ってしまう。ただし、納得させられても、カタルシスはない。

 フラフープは、ドローンと対比して、肌触り・手触りのあるコントロール、自由の象徴だろう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)死ぬまでシネマ[*] irodori[*]

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