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[コメント] 哭声 コクソン(2016/韓国=米)

撮影者の交代が功を奏したのか、カメラを三脚に据えることを覚えたナ・ホンジンの第三作は、長尺化症候群の悪化をものともせずに馬鹿馬鹿しくパワフルだ。例の祈祷合戦シーンを筆頭に、光景は妥当性の裏付けを意図的に欠いたまま奇態の度ばかりが右肩上がりに増してゆく。まったく横紙破りの筆圧である。
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**ネタバレ注意**
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ゾンビ映画群から『CURE』『ハプニング』に至るまで数多の映画が示しているように「凶事の伝播」は恐怖にとって効率的形態である。また、結末を迎えてもなお恐怖の核心であるところの「原因不明」は無慈悲に保存されている。このように恐怖を(少なくとも概念の水準では)正しく把握した『哭声 コクソン』は、超自然の現象に踏み込みながらも、演出家のオブセッショナルなモティーフと思しき「対処の失敗」はむしろ自然に導き出されている。

些末なところに目を向けても、たとえば祈祷師ファン・ジョンミンの普段着がジャージーである、などというのは「意表を突いた」とも「さもありなん」とも云える微妙なる按配の衣裳で、「映画」におけるリアリティやらもっともらしさなるものはこのようにあってほしいと思わせるディテイルだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] セント[*] DSCH[*] ぽんしゅう[*]

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