また、室内場面においてあまりカメラ位置の変わらないカット繋ぎもいくつかある。カットを割る必要性が感じられない。私には及びもつかない深謀遠慮が隠されてるのかもしれないが、ここでも私は冷めてしまった。

ただし、ロングショットと長回しは良好だ。店内で三人がダンスするシーン、或いは姉弟が庭で花火をするシーン、からかったおっさんが戸口まで追いかけてくるシーン。黒川芽以を筆頭に役者が弾けており、瑞々しい魅力を湛えている。最後の方でアイスピックを持った染谷将太がカメラにどんどん近付いていって「ビッグスワロー」のようになるカットも音楽と合わせて実にかっこいい。音楽といえば、劇伴のように使われるオフの車の走行音もまた良し。

※劇場でたむらまさき氏による舞台挨拶があった。想像していたのとは違って、好々爺な印象を持った。(とあるカットに関して)たむらまさき「ああ、あんなのNHKならカットの声かけてNG、ちゃんと雲みとけよ、となります」「私がカットの声かけようと動く前にショット全部撮り終わっちゃったからまあいいやと思って(一同爆笑)」