[コメント] ハクソー・リッジ(2016/豪=米)
沖縄白兵戦シーンの凄まじさ、生々しさ。人間同士が殺し合い、一瞬で生命機能は喪われ、身体が肉の塊へと成り代わっていく残酷さ、生々しさ。
小説や記録など、文字で読んだことはあったが、こうして眼前に力ある映像として見せられると、僅か70数年前、我々の祖父の世代がこのような愚かな殺し合いをせざるを得なかった事実に厳然としてしまう。
一方で、主人公デスモンド・ドスの「偉業」をうまく描けているかという点にはやや疑問を感じる。彼が何故あのような強い信念を抱くに至ったかの過程をうまく描けていない。少年時代の兄弟喧嘩での事故のシーンはあったが、あれだけでは説明しきれてないように思える。父のDV回想も何度かフラッシュバックされるが、後付けに感じる(その父親もいつの間にか良い人になってしまっているし)。ライフルの訓練を拒絶する件りには、観ているこちらも唐突感を覚えてしまった。
入隊するシーンで、同じ部隊の兵士がたくさん登場し、上官も何人も出てくるが、作劇上の役割分担が不明確。後の戦場シーンでの伏線回収もままならず、ここはもっと焦点を絞るべきだったろう。実話であることに引っ張られ過ぎの感がある。
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