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[コメント] サボテン・ブラザース(1986/米)

徹底的に馬鹿馬鹿しく「おばか」を演じた3人の主役は、間違いなく一流のエンターテイナーだと思う。だけど、脚本がキャラクターの魅力に追いついてなかった。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 弱者が強者を手玉に取る構造のスラップスティックは、アイディアがすべてだと思うのだ。いかに機転を利かせて、強者が思いつかないような弱者なりの方法で「もう駄目だ」な状況を「してやったり」にするか。こうした映画が爽快感を生むかどうかの分かれ目はたぶんそこにある。

 この映画、3人のキャラクターは実に面白い。誤解からヒーローに仕立て上げられてしまう設定もいい。だけど、スラップスティックの肝である「ピンチを切り抜ける機転のアイディア」がまったく疎かにされていて、どうしてもノレなかった。

 例えば、序盤に出てきたドイツ人とスーツの2人組は、酒場の荒くれ者たちでさえ圧倒する「腕利き」として登場したはずだった。だが、いざ主人公たちと絡む段になったとき、その「圧倒的な銃の技量」はまったく生かされず、たかが俳優に簡単に敗北してしまう。また、リーダーが砦の地下に拘束され、鍵がその場に投げ捨てられた場面でも、誰かが上手いこと助けに来るのかと思えば誰も来ず、結局彼は何の工夫も無く筋力だけでピンチを克服してしまう。牢獄が牢獄の意味を成してない。この2つの場面だけ取り上げても、「俳優は弱い」という前提において配置されたはずの伏線が、その前提を破棄する形で回収されてしまっているのだ。脚本的にとても無策で、雑な作り方である。

 クライマックスの、みんなでアミーゴの衣装を着るというアイディアも何だかよく解らない。だってもともと村人みんなに行き渡るほど銃があったんなら、別にアミーゴの衣装着なくたって勝てるじゃん。と思うのだ。

 総じて、設定とキャラクターだけで最後まで観れてしまうが、映画の完成度としてはあまり高くないというのが私の感想だった。もっとも、この優れた設定と完成度の低さこそが後に『ギャラクシー・クエスト』という素晴らしいフォロワーを生む要因だったのかもしれないけれど。

(評価:★3)

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