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[コメント] アランフエスの麗しき日々(2016/仏=独=ポルトガル)

今さらヴィム・ヴェンダースがこういう試みをする必要があるのだろうか、とも思うのだが、だいたい、そういう意味性に無頓着な人なのだろう。考えてみると、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の時だって、同じような感慨を持った。
ゑぎ

 盟友ペーター・ハントケのテキストを使って、最小限の道具立てを繊細に演出することで、どれだけ付加価値を創出できるか、みたいなことをやってみたかったのだろう。とりあえず、そんなに興奮をそそる出来ではないけれど、肌理細かな画面造型を楽しむスタンスに立てば十分面白いと云える。

 絶えず緩やかな移動とパンニングを繰り返す、止まらないカメラ。撮影と編集のバリエーションを見ているだけでも興味が持続する。緑色に発光するジュークボックスとその音楽。唐突な予測不能の変化−男女の服装、犬や庭師の出現、ニック・ケイヴがピアノを弾きながら唄っていたり。あるいは、でっち上げた台詞やアクションの決まり。こういったメタフィクションの「くすぐり」みたいなものも小さな驚きを積算する。そして、そう、映画は「西部劇のような創作」であるという認識に共感する。

#庭師はペーター・ハントケご本人とのこと。

(評価:★3)

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