[コメント] The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ(2017/米)
家内と見に行ったら、家内は大絶賛。こちらはそうでもないと言うと「男にはこの味わかるまい」と上から目線でものをいわれる始末。なんでも家内の言うには⇒
男の磁力にかき乱される女たち同士の角逐の映画だというのである。こういうなりゆきになる心理的な伏線の張り方が素晴らしいという。それはそうかもしれない。しかし家内の意見で、自分は女の磁力にかき乱された男の映画としてつい見ていたことに気づかされた。磁力にも引き合う力と反発する力とがある。それが予測のつかないところに作用するこわさを感じながら、男の映画として見てしまっている。女以上に男が描けていると感じたのだ。男の狡さ姑息さ阿保さがやたらにリアルに分かる。
ソフィア・コッポラが、家内が見たように見てほしいと思って作っていることはなんとなくわかるが、その線で掘り下げると、ニコール・キッドマンも、キルステイン・ダンストも人物としてクリアに結像しないのである。心理の暴き方がぬるい。もう少し描いてよ、と言いたくなる。女を描くときに女性監督は手厳しさを失うのか、と言おうものなら家内はなんというだろうか。夫婦でこれ以上議論するのは、不毛な結果しかもたらさないような気もするのでやめてしまった。
それにしても、この映画におけるキノコの象徴力はすごい。キノコは湿った薄暗いところに生える。すべての登場人物たちが、独特の湿りと薄暗さの中で鬱屈している空気感の描写は総毛だつくらいの普遍的な力がある。
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