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[コメント] ジュマンジ:ウェルカム トゥ ジャングル(2017/米)

アナログのTRPGを思わせる出来。楽しい思い出に結びついた。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 オープニング部分でボードゲームのジュマンジがテレビゲームになったことがわかり、安っぽくなったか?と思ってしまったが、結構あっという間に慣れてしまった。

 これまでのシリーズではゲームに引き込まれた子供は子供の姿のまま冒険させられたが、この作品ではアバターとなって存在する。外見と中身が全く違うため、そのミスマッチが楽しい。ちゃんと中の人間の個性を残しながら、アバターの能力を使って冒険をするというのがなんとも心地よい。

 この心地よさが何かと考えると、昔ちょっとはまったTRPのような感覚だと分かる。使ってるゲームがテレビゲームなのだが、アナログ感あふれた作りになってるのがなんか楽しい。

 本来の自分は別にあるのだが、そのゲーム中のキャラになりきり、そこで期待されている行動を取りつつ、時に二つの人格を同時に使うことで危機を乗り越えていく。それがとても面白い。

 例えば主人公のスペンサーはとても内向的なギーク若しくはナードキャラなのだが、そのいアバターはドウェイン・ジョンソン演じるフェロモンまき散らすマッチョなキャラとなるし、バスケットのスターでジョックのフレッジは、単なる荷物運びのサイドキック役に、いわゆる今時のイケてる女子ベサニーは中年太りした冴えないおっさん。そして女性版ギークキャラのマーサは健康的な美女タイプに。

 どれも本来の性格とは全く違った容姿と能力なので、戸惑い手探りで冒険を続けていく内に、徐々に外見の方に合わせられるようになっていく。ゲーム上の自分自身や仲間の死も一種の裏技として使いつつ、気がつくつとすごくしっくりくるようになっていく。

 この違和感と同化の絶妙な組み合わせが本作の魅力であろう。ずれた言動と行動、そして思い切った行動。これこそが先ほど挙げたTRPGの醍醐味なのだ。テレビゲームも没入出来るが、あくまで一人。多人数でわいわい言いながら自分のアバターに同化していく楽しさはアナログの良さがあるものだ。

 だから最初に欠点の多い設定だと思っていたのが、実はそれこそが本作の最大の魅力と分かると、あとはとても楽しくなっていく。二回までなら死んでも大丈夫という裏技があるため、普通のアドベンチャー作品と較べて変化を付けられたのも良い。

 そしてこれもTRPGの醍醐味だが、みんなで楽しくプレイすること。物語が基本的に陽性に作られているので、そのはまり具合も良いし、ちゃんと映画のフォーマットも思春期の心の成長物語に落とし込んでるところもきっちりしているので、意外な好作だろう。

(評価:★3)

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