[コメント] ウインド・リバー(2017/米)
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主人公はあくまでもハンターのジェレミー・レナーであり、基本的にはレナーの過去の出来事を絡めながら、彼のプロとしての振る舞いでプロットを牽引する。一方、若い女性のFBI捜査官として、エリザベス・オルセンが登場し、彼女の成長がもうひとつの焦点となるのだが、単に、まだ未成熟な女性FBI捜査官という意味で、ジョディ・フォスターを継承しているというだけでなく、本作の演出的な最大の見せ場が『羊たちの沈黙』でジョナサン・デミが行った時空の「すり替え」の継承なのだ。それもあからさまに、ドアのノックというアクション、ドアの内外という異空間を起点にするところまで同じであり、模倣じゃないかとも思われるが、本作では、全編で唯一こゝだけがフラッシュバックで繋がれる処理ということもあって、その演出効果の鮮やかさにおいて、甲乙つけがたい出来だと思うのだ。
さて、このトレーラーハウスのドアを挟んだ銃撃戦シーンの演出についても銘記しておくべきだろう。オフからの2つの銃撃が見事だ。初っ端の、ドアの向こうから、オルセンが撃たれる部分と、トレーラーの外部にいるレナーが、内部へ撃ちこみ、敵が吹っ飛ばされるカットを指している。簡潔かつスピード感溢れる巧い演出だと思う。
尚、エピローグでレナーのネイティブの友人が「死の化粧」をしており、「教えてくれる人がいなかったから、見よう見まねでやった」というような科白があるのだが、これは複雑な情感をもたらす科白で唸った。このエピローグもとてもいい。
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