[コメント] ビブリア古書堂の事件手帖(2018/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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その3つのセリフだ。
a、「その子は俺の子だ」。 b、「不採用通知が来ていたよ」 c、「本には人の心がないんだよ」
作品は、昔の話と現代の話の2パートに別れ、昔の話の最重要セリフがaだ。その恋物語は昔から有る手垢が付いた程のものだが、これほどすっきりとまとめられたものは少ないだろう。すっきりし過ぎて現実っぽくないという意見もあろうが、私の知人の場合は、こんなものだった。現実は至極簡単なものなのだ。表面的には。
現代に起きる事件そのものは、消去法というか勘のいい推理ファンなら、‘謎の人物’が出てきた時点で、概要はつかんでしまうだろう。
それより興味深いのが、bのセリフだ。このセリフは、彼が今フリーで古書堂で働けるということを示すのみならず、どんな人間かも表している。頼りになるしっかりした人物、ではない!ということだ。その人間性も併せて、彼が最後の最後まで物語を引っ張って行くという構造になっている。つまりセリフbは、物語全体の先を読むための伏線にもなっているともいえる。
そんな彼に付き合って、書物至上主義の女主人公が本以上のものを知るキッカケになるのがラストのセリフcだ。そしてこのcこそが、本作品のテーマだ。瑕疵を言えば、このセリフを言うのがまだ若い妹だということだ。これは主人公の周りに適任な人物がいなかった為だろう。これには目をつぶって知らぬ顔をするのが最善というものだろう。
本好きの私は、同様なことを昔言われた記憶がある。本好きの人々には結構ショックなセリフなのだ。
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