タイトルから連想されるのは、落としたスマホから個人情報が抜かれて、ネットを通じてあることないことが拡散されていく怖さがテーマな作品ということになるが、これが微妙に核心からズレているのが残念。ネットでプライバシーが面白おかしく晒されていく悪意のドミノの本質っていうのは、きっかけこそ少数の悪意に満ちた人間が煽るものの、それに踊らされて罪の自覚のない一般人が起こしていく犯意の不在の怖さだ。ロックをかけてないスマホから恋人の写真に到達し、彼女の名前からFACE BOOKっぽいSNSに到達、誕生日からあっさりパスワードが割れ、ログインに成功するや、裸の写真から交友関係までもう何でも取り放題。このへんこそネット社会への警鐘、SNSサスペンスの真骨頂、まさにドミノ倒しの恐ろしさが感じられてワクワクするのだが、

※ここから犯人に関するネタバレあり。要注意でお願いします。

スマホを拾った人間が、まさかの猟奇連続殺人鬼。しかもネグレクトが原因の性格異常者。ここからのサスペンスはもう単にこのノーマン・ベイツもどきの犯人由来のものになっていく。これじゃスマホを落とさなくても、北川景子は何かの拍子に犯人とすれ違いでもすれば、事件に巻き込まれていってもおかしくないわけで。だって北川景子の前に犠牲になった風俗嬢たちは全員スマホを落としたわけではないでしょう。しかも悪意のドミノもそんなに拡散されたっていう描写もない（それによって関係者間でトラブルになるが社会から晒されるところまでいかない）。結局スマホを落としたというのはテーマではなく、単なる耳目を集めるためのモチーフだったんだっていう。あとはありふれた話しだったよなぁ、という残念でした。

北川景子が犯人に殺されそうになる場面で、彼女の秘密がバレそうになる展開になるんだが、キチガイに殺される恐怖＜秘密がバレそうになる恐怖、なのか、彼女が腹をくくって秘密を自白する場面はなんか違和感があった。そんなに落ち着ける場面かなぁ。

さらにネタバレなんだけど、整形後の顔が北川景子の顔っていうのは、北川景子のある種人工的な美しさにはあっていたと思う。整形で真似されたほうの北川景子のメイクを少し野暮ったくするなど、両者に差異があれば良かったと思った。