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[コメント] ルカじいさんと苗木(1973/露)

戦火を越えて』同様、民話のようなお爺さん主役のほのぼの旅行記で、これがジョージア(グルジア)映画らしさなのだろう。お爺さんも孫も善人で、事件は大したドラマに発展はしないが、それも作劇の意図と思われた。ふたりがハモる民謡がとても美しい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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面白いのは、旧友に教えられてバスに相乗りするアメリカ人たちのツアー。あれは一体何をしているのだろう。ソ連公認なのか、グルジア限定なのか。ツアーとしても、映画としてもさっぱり判らないところがある。共産圏なのにキリスト教を讃えてアメリカ人とグルジア人が共闘している。孫の少年が学校で英語を習っているというのも、なんでそんなことしていたのだろうと思わされる。これもソ連の方針なのかグルジアのそれなのか。

梨の実がなるのに15年かかる。アメリカ人は息を呑み、15年後も地球は存在しますか、と尋ねる。「原爆だって水爆だってあるのに」。ソ連にいるアメリカ人がこう呟くのは曰く云い難いものがある。じいさんは地球を壊す権利などないと、割と当たり前の応答をする。神のご加護を、とまた別のアメリカ人が云い、お爺さんと賛同、お爺さんはゴキゲンでみんなにウォッカを振る舞うのだった。

石を越えずにその向こうにある梨の苗木(昔の種類でチェチェリーとか云っていた)に辿り着いたら売ってやるというイジワルに、苗木の処まで石を動かす件は民話っぽいが、最後の泥濘へ脱輪したトラックのカマシに苗木を使ってしまう件(トラック運転手は大したお礼も云わず去ってしまう)は民話っぽいかどうかに係らず正しいことがなされたという満足感がある。ただ、約束のアメリカへは送れなくなってしまった。対米的に何か含みがあっただろうか。

(評価:★3)

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