[コメント] ベスト・フレンズ(1981/米)
こゝからラストの暖炉を前にしたカットまで、ため息がでるような美しい画面の連続、素晴らしく安定した王道のリバースショットとカッティング・イン・アクションの連続なのだ。
ジャクリーン・ビセットとキャンディス・バーゲンの2人ヒロイン。2人とも当時30代半ばで、とても美しい。邦題はこの二人の間柄を表していて、ほゞ同等に見せ場もあるのだが、プロットの主軸は、あくまでもビセットだ。彼女の、多くの場面で毅然としているのに、一方で性に対して奔放、という造型は、このキャラクターを複雑なものとし、同時に映画の娯楽性を上げており、私は映画的に好ましい措置だと思う。まず前半の、旅客機のトイレでの情交シーンが、常軌を逸した愉快なシーンになっており、こゝだけでも素晴らしい。旅客機の着陸態勢、車輪を機体から出す様子等やランディングの描写とのクロスカッティングが、意味不明の(というか問答無用の)メタファーになっている。なんと若々しい演出!しかも堂々たる安定したカッティングなのだ。
さて、ビセットを中心に書いてしまったが、バーゲンのとびっきりの見せ場も上げておこう。それはラスト近くの全米作家賞受賞パーティの場面で、暗い部屋に一人たたずむ彼女のカットだろう。このカットの美しさには惚れ惚れする。そして、キューカーのラストのラストも、本当に感動的な、もうこれしかない、というラストカット。さらに付け加えれば、ジョルジュ・ドルリューの音楽も美しい。あゝ映画の至福。
#備忘
・メグ・ライアンがバーゲンの娘の役で本作がデビュー。まだまだ演技は拙い。
・都合3回のパーティシーンがあるのだが、それぞれのパーティに多くの作家や映画人が顔を見せているよう。ラストクレジットには、クリストファー・イシャーウッドだとか、ロジェ・バディム、キャンディス・バーゲンの母親のフランセス・バーゲン、ランダル・クレイザー、ポール・モリセイ、ニナ・フォックなんて名前が見える。NYでのプロモーションのためのパーティの場面で、レイ・ブラッドベリがいるのは私にも分かった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。