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[コメント] ビキニの海は忘れない(1990/日)

忘れ去られてしまいそうなビキニ水爆実験を風化させない努力は素晴らしいが、映画には幾つかの疑問と問題点と足りない点がある。☆2.9点。
死ぬまでシネマ

根気の要る調査活動を高校生が行い、遠隔地への調査旅行にまで出掛ける行動力(若さ…?)には感心する。クッダラない事に血道を上げる今日びの若いモンに較べればナンボか素晴らしいとは思うが、しかしこの企画を立案し指導しているのはどうも教員たちである。

観ていても頭脳明晰なリーダーがいるとも思えず素直で若々しい少年たちだから、まぁ平和学習そのものを企画立案するのは無理なので教師がそこは…というのも解らないでもない。平和学習はやはり教育の重要な一要素だからだ。しかし映画はそこを無理に「高校生による」という点を強調して誤魔化しているように見える。

教師が指揮していいんだよ。実態は高校生たちが自分の手で知る事になるんだから。本気で高校生を主体としたドキュメンタリーを創るのならば、平和学習というものを高校生たちはどのように考えて取り組んでいるのか、事実を前に高校生は何を感じたのか、を制作者が被写体である高校生に追究しなくてはならない筈だ。その点で、ビキニ被爆調査への興味で足許を掬われたのか、この映画は完全に生ぬるい。

最後に高校生たちによる、平和を希求する合唱の場面が出てくるが、1990年のセンスとは思えないし画面割も酷い。教師と父兄が平和学習そのものについて話している場面が出てくるが、「教育にとって平和学習とは?」という重要な問題には到底到達しないような世間話で終わっており、非常に残念である。

(評価:★3)

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