[コメント] 美式天然(2005/日)
日本の懐かしき原風景と交感する現代のまほろばを探す時空の旅は、運命論的な物語構成と独特の様式美で魅力深いGOODマニエリスム映画
知られざる異能、天性の作家・坪川拓史監督、幻の初長編作品である。本作は、ヨーロッパはイタリアトリノにおいて、長編コンペティション部門グランプリ、最優秀観客賞受賞をW受賞した曰くつきの作品であるのだが、今日現在、日本での劇場公開はいまだなされていないのだ。古き良き日本情緒を演出する美術プロダクションに、その情緒を一層醸すのに手伝う関島岳郎の劇伴奏。また、坪川監督自身、アコーディオン奏者でもあることから、作品中に滲み出る哀愁の旋律は、珠玉の輝きを誇っている。さらに、新人らしからぬ役者の起用は、俳優たちへの世界観に寄せるシンパシーのあらわれ、芸能への愛を感じる演出である。重厚さと軽快さを併せ持つコクの深いまろやかさは、天才の名に相応しい所業である。
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