[コメント] 007/美しき獲物たち(1985/英)
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007シリーズの14作目にして、ロジャー・ムーア版ボンドの最終作。
今回はロジャー・ムーア版ジェームズ・ボンドの最終作ということもあり、序盤のスノーボードなどなかなか迫力のあるシーンも多く、アクション映画としては見応えのある作品になっている。その分、ムーアが明らかにやってないアクションも多いが、スタントを使っていることで返ってボンドが若返った印象もあり悪くはない。
ただ、ストーリー面に関しては、やや杜撰な点が多い気がする。例えば、ボンドと共にゾーリンに接近したティベット卿が、敵の本拠地に潜入し、隠し部屋の研究室を見つけた後なのに、ガソリンスタンドまで追跡され、後部座席に隠れていた敵に絞殺されるところは、いくらなんでも警戒しなさすぎな気がする。同様のことはCIAのエージェントのチャック・リーにも言え、ゾーリンと関わりのあったステイシーの家に敵が襲撃に来た後なのに、ステイシーの家から車で出ようとする際に警戒する様子もなく、ティベット卿と同様の手口で殺されるのは、正直、情けない。
敵のゾーリンにしても、後半でそれまで手を組んできたメイ・デイら数人の仲間を非情に見捨てるシーンがあるが、なぜ戦力面で重宝なはずのメイ・デイを見捨てるのかの理由が不鮮明なので、なにか無理矢理、異常なキャラクター性で片付けられてしまっている印象。また、メインの敵のはずなのに終盤になると実質はモートナーに操られていた様なポジションになってしまい、存在感が弱くなってしまっている。現に終盤はゾーリンの手下のスカーピンやモートナーの方が敵として存在感を発揮しすぎている気がする。
役者としてはロジャー・ムーアは若作りで頑張ってはいるが、ボンドガールのタニア・ロバーツと並ぶと、やはり親子にしか見えないのが辛い。そのボンドガールに関しては、『チャーリーズ・エンジェル』ばりにコスプレを披露し、見た目での華やかさは目立ったが、キャラとしては後半まで出番がなく存在感を今ひとつ発揮できなかったステイシー役のタニア・ロバーツよりも、凛々しい顔立ちと筋肉質な身体つきでボンドガールにしては色気はないが、キャラとしては重要な役どころを野性味のある演技で引っ張っていたメイ・デイ役のグレイス・ジョーンズの方が存在感があり印象に残った。
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