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[コメント] 記者たち 衝撃と畏怖の真実(2017/米)

首相の「桜を見る会」報道(公的行事(予算)の私的濫用と公文書隠蔽改竄)が事実か気になるひと、気にならないひと。森友学園問題(国有財産の横流しと公文書隠蔽改竄)の事実が気になるひと、ならないひと。加計学園問題(公的教育研究機関新設権の私的濫用と公文書隠蔽改竄)の事実が気になるひと、ならないひと。☆3.8点。
死ぬまでシネマ

こういう映画を見てもどうもノれない。臨場感が無い。記者たちは「イラクにはWMD(大量破壊兵器)なんて無い」詰まりブッシュの戦争には大義名分が無いという事を記事にしようと奔走する。それは現在ほぼ白黒がついている問題であるし、仮にまだ議論の余地があるとしても、映画はその立場から論じているので映画としては成立する。しかし<問題>はそこではないのでは? 「WMDの存在が本当かどうか」は現実には最も重要な問題だが、映画で描くべきは、真実として捏造されていく過程、捏造していく政府、加担し反発しない世論(国民)なのではないか? 勿論本作でもそこを描いたテイにはなっている。でも全然伝わってこない。記者たちが主人公では伝わってこない。こういう映画はいつも伝わってこない。だからノれない。何故なのか。

日中戦争から太平洋戦争に至る世情を描いた映画でも、同じ様な事が起こる。政府の宣伝、大政翼賛会・大日本婦人会の結成、隣組…、反戦学生が主人公でも、空襲被害者が主人公でも、伝わらない。何故そんな事になるのかが、伝わらない。

ひょっとして、これはひょっとしてだが、人々は事実はどうでもいいんじゃないのか? WMDがあろうがなかろうが、「反米的なアラブ国家を攻撃出来るならそれもいい」と思ってるんじゃないのか? 大東亜共栄圏が嘘であろうと、日本がアジアに攻めていくんでいいと思ってたんじゃないのか? だから反対派の声が届かなかったんじゃないのか? 都合のいい方に最初から向いていた事、それに気がつかなければウソも本当もないだろう。

金が掛かる東京五輪招致には、都民は積極的でなかった。それを都庁と政府が宥めすかし焚きつけ続けて開催が決定された。一旦決定されるともう止まらない。そこで出来た流れに、メディアも乗るだけ。全てが終わった後に後悔し、尻尾が切られるだけだ。「都合のいい方にだけ向く」という点では、戦争となんら変わらない。

こうした事が肌で実感出来る様な映画は出来ないものだろうか。Masterさんが仰る様に、それは寧ろドキュメンタリー映画こそがふさわしい。しかし、人々はドキュメンタリーを見ない。そればかりかニュースも見ない。見るとしてもネットで自分に興味があるものだけを見る。益々都合のいい方だけに向く。

     ◆     ◆     ◆

ただもう一つ、アメリカは大戦後もずっと戦争をしてきた国だ。第二次大戦の後、露骨な帝国主義は反省されたが、ベトナムへ、中東へ、超大国アメリカの軍隊は派遣され続けた。そこに現代日本人のメンタリティとは全く異なる背景がある事には注意が必要だろう。そして今、日本人が守るべきものは何か、と。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)jollyjoker[*] けにろん[*]

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