[コメント] エリカ38(2019/日)
スタンダード画面に、どぎつく滲む濃厚な色調が息苦しい。初老の女たちは、みな気の毒なほど顔面や手のシワを強調される。この「リアルの誇張」による醜悪さの演出に浅田美代子は見事に耐え、あの『赤い文化住宅の初子』で見せた謎の怪女の不気味に迫る。
残念なのは、クライマックスのドキュメンタリー風手持ち撮影と、聡子(浅田)を糾弾する被害者役たちのオーバーアクトの気負いが相容れず、一向に緊張感が生まれないこと。結果、戦術としての「リアルの誇張」は、この“見せ場”の不発のせいで「作為の虚構」と化してしまう。残念。
本物らしく作ってみました、ほどシラケるものはない。
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