いかにもハリウッド的な音の付け方が鼻につく。冒頭からこれから怪しいことが始まるますよ、どんどん悪意のドラマが深まりますよ、と重低音大音量でやられるとついその気になるが、これが画面だけだとその意味付けが半分程度になるような音響。（STAR WARSの予告編もそういう音の付け方だが、これはダイジェスト版なのでそれほど気にならない）音による意味付けで話を端折っている印象。なぜ拳銃を持って保育園にいったのか。そのためにクビになる電話を電話ボックスで受けているのはなぜか（絶望の頭突きでガラスにヒビを入れさせたかったためか）。いろいろ細かなところで、キャラクターを見せるためだけのシーンが多く、それを音響で納得させる手法のように思える。

JOKARの造形と役者の演技を見るための映画としては、よくできている。ゴッサムシティという架空の（しかも設定はすでに周知）街の話としては、どうも中途半端。アメリカの現実を巧みに取り入れて、この映画の背景（貧困と富裕層の隔離）があって成立するドラマにしては外面からの状況説明的で説得力がない。

そうした気になる演出を除けば、しっかりした作りの映画だとは思った。