[コメント] パラサイト 半地下の家族(2019/韓国)
これは寄生だろうか。ドブ鼠がそうするようにキム一家はパク社長の家族と“共生”しようとしただけではないのか。世の中の富を吸い上げる巧妙なシステムに安住する金持ちこそ貧者に寄生しているのではないか。確かなのは貧者はドブ鼠ではなく人間だということだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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異なる価値や状況を認め合い“共生”を成立させるには相互の敬意と努力が必要だ。片方が一方的に利益を奪い取る“寄生”は固定化すると互いにその不均衡な関係に無自覚になる。キム一家は人としてのボーダーラインぎりぎりの共生を試みたのだ。しかし、もはやパク夫婦には人間とドブ鼠の区別がつかなくなっていたのだ。おそらくパク社長は、なぜ自分がドブ鼠に刺されたのか、その原因も理由も理解していないだろう。
地上から半地下へ。半地下から地下へ。それは抑圧された者がたどる路だ。かつて、地下に潜伏した被抑圧者たちはテロリストとなって地上の世界を揺さぶり力づくの変革を促した。まがりなりにも民主主義が定着し、資本主義が高度化したいま、そんな混乱などもはや起きえないようにみえる。そうだろうか。2008年に起きた秋葉原の無差別殺傷事件とはなんだったのだろうか。すでに新テロル時代が始まっている、と私は思っている。
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