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[コメント] ヒッチ・ハイカー(1953/米)

とにかくウィリアム・タルマンの悪役造型に尽きるのだが、演出も丹念によく見せる傑作スリラーだ。荒野の道を走る車、そのロングショットもバリエーションが豊かで感心する。
ゑぎ

 野宿の際の焚火がタルマンの顔に反映するカットなんかも、ゾクゾクする映画性。また、夜、寝る際も、タルマンは右目を薄く開けているように見え、寝ているのか起きているのか分からない。このあたりの描き方も見事。

 銃を突き付けられ、要求通り車を運転せざるを得なくなったエドモンド・オブライエンフランク・ラヴジョイが、いかにしてウィリアム・タルマンから逃げおおせるか、という話ではあるのだが、エンディングを含めて、彼らができること(できたこと)は殆どなく、結局、タルマンの一人勝ちで終わってしまう映画だというところも素晴らしい。

 クレジットの序列ではオブライエンの方が明らかに上位だが、キャラ造型とプロット上の役割で云えば、オブライエンよりもラヴジョイの方が、ずっとヒーローらしい描かれ方をしている。ラヴジョイは射撃の名手で、オブライエンが空き缶を持たされ、ラブジョイがライフルで空き缶を撃つように命令されるシーンなんかが顕著な部分でしょう。こゝも見事なシーンだ。

(評価:★4)

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