[コメント] 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019/独)
何故だか、この男に共感も、同情も、憎しみも、悲しみも湧かない。あまりに淡々と「人物たち」と「その行為」が客観的に描かれるので“再現”された殺人犯との距離の取り方が上手くつかめないのだ。ファティ・アキンの演出は冷静なようで微妙に外してないか。
フリッツ・ホンカという男の容姿がことさら醜く造形され、犠牲となる娼婦たちの老体と無気力さが強調される。このデフォルメされた「みじめな意匠」が、見る側(私)の優越感を無意識に呼び覚ましてしまうのではないか。この映画には、作り手側と、鑑賞者側の意識せざる“上から目線”の共犯関係を成立させてしまう危うさがあるような気がする。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。