[コメント] 怒りのキューバ(1964/露=キューバ)
社会主義革命のプロパガンダ映画なのだが、映像演出の格調の高さが作品の品格となってイデオロギー臭が消えている。主義や主張におもねらない表現者の意志が、自由を求める普遍的な“人間の感情”と同期するように映像へと昇華され市民主義の良心の域に達している。
レニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』と同質の純度の高さを感じた。表現に対する作家の欲求は政治的イデオロギーを凌駕する、ということなのだろう。
余談です。本作の日本語訳者として岩崎昶の名前を久しぶりに目にしました。この日の朝、やはり映画批評家松田政男の訃報にも接していた。路線は正反対でしたが両氏とも左派の映画評論家として活躍された方々。学生時代に読みふけったお二人の著書を本棚の奥から引っ張り出し、数十年ぶりにページを繰ってみた。
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