[コメント] ルース・エドガー(2019/米)
「黒人」「白人」「権威」「暴力的思想」「養子」「理想」、これらのキーワードと、アメリカの今の現実が本作に独特の、そしてかなり強い緊張感を与えている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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物語の骨格は、思春期、反抗期の最中の高校生たちが権威を振りかざすいけ好かない教師に一泡ふかせて学校から追い出す、というもので、別に血も流れず死人も出ない、ある種の青春映画と言ってもいいものだ。実際、青春コメディ映画としても描けるような話ではある。
しかしそれが上記のいくつかのキーワードと、今(2020年6月初旬)のアメリカの現実、警官による黒人男性暴行死事件をきっかけに、キング牧師暗殺以来と言われる全米規模の抗議行動の広がりと、現職大統領がそれに対して国民に冷静な対応と団結を呼びかけるのではなく、抗議行動には軍を出動させて制圧するぞと威嚇する、このアメリカの現実を踏まえて観ると、本作の主人公の一人ルースケルヴィン・ハリソン・Jrの、周囲から優等生であることを強いられる黒人高校生という異常なプレッシャーを感ぜずにはいられない。
そして、そこから不安と動揺を感じるもう一人の主人公である養母ナオミ・ワッツの心情も何となくわかる。
この意味で、アメリカの今を描き、そしてそのことを強く意識させる映画だと思う。
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