[コメント] ワイルド・ローズ(2018/英)
本邦では公開順が逆になってしまったが、『ジュディ 虹の彼方に』(2019)で、ジュディ・ガーランドのロンドン滞在中のマネージャーを演じていた、ジェシー・バックリーが、こんなに芸達者だったなんて!正直なところ、レネー・ゼルウィガーよりも歌唱力は上じゃないか。
勿論、『ジュディ』でも、強烈な女優だとは思ったのだが。考えてみると、『ジュディ』では、バックリーが、全く歌を披露しない堅物マネージャーを演じる、という面白みもあったということか。それにしても、本作のラストの楽曲のサビの歌詞が「No Place Like Home」とは!
登場からバックリーがメッチャ明るい。ワイルドというか、とにかく元気で気持ちがいいのだ。また彼女が全編唄いまくる映画ではあるが、まずは何といっても、スザンナの邸宅の掃除婦になったその日に、勝手に酒を飲んで、部屋を掃除しながら唄う場面と、裁判後にかつて雇われていた酒場へ行き、無理やりステージに上がって、歌手をどかして唄うシーンがいい。素晴らしく開放感のあるシーンだ。
中盤の、ロンドン行きの列車の中で、置き引きに会うクダリが、もっと大変なことになるのかと思ったが、案外簡単に済まされたり、スザンナの夫が予想外の対応をしたり、といった部分は少々違和感があったのだが、バックリーの2人の子供や、母親・ジュリー・ウォルターズとの関係とその変化も、とても肌理細かく演出されており、感動を呼ぶ。特に、ジュリー・ウォルターズの気品ある美しさが素晴らしい。
撮影では、ナッシュビルの場面全般が、スコットランドとの対比も効いて、アメリカらしい乾いた感じがいい。バックリーが夜の舗道を散策するシーンなんかも良い仕上がりだ。
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