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[コメント] 大出世物語(1960/日)

小沢昭一主演の最初期作だろうか。当時の屑屋さんの生活の詳述がとても興味深く、吉永浜田のカップルが脇役というのが芳しい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







印刷会社の下働きして、正社員の湯茶汲んで自分はゴミ捨て場で弁当開き、社員が帰った後で掃除してリヤカーで紙屑を自宅へ持って帰る小沢。山羊髭がなんともいえない造形。異動で生真面目な担当になって会社追い出されかける件は、私もあの担当の立場にいたことがあるから反省させられた。

最後の小沢の会社救済はしかし突飛。「たあんとため込んでいるって噂だよ」などと何度も前振りがあるから不自然でもないんだが。ただ、映画の眼目はもちろん小沢の出世ではなく(あんな傾いた会社の社長にされては迷惑だろう)、立場の反転した吉永と浜田のやり取りのコメディにあるんだろう。「貧乏なんて詰まらない劣等感よ」の云い返しがユーモラスで見事に決まった。

右翼の阿部らしく、小沢は海軍出身の設定になっている。渡辺美佐子の会社を「日米商事」としているのは阿部の戦後世界への嫌味なんだろう。私的ベストショットは渡辺の行商に文句云いながら商品のブラジャーをとりあえず胸に当ててみる高原駿雄

(評価:★4)

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