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[コメント] ごろつき船(1950/日)

アイヌ差別の写実満載で決して気分のいい作品ではない。宮崎美子を美人にしたような相馬千恵子が涙目で許せと云うから許す。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「私のように身分の卑しい者に」と逃げかけるアイヌの相馬に「妾の子に産まれたおれは、お前の呪われた血が好きなんだ」とかぶせる悪役の月形龍之介。原作はベストセラーらしいが、こういうのも大仏の描写なのだろう。1820年の蝦夷においてのリアリティということなんだろう。

ベストショットはクライマックスで相馬がアイヌの仲間に知らせるため浜辺で円を描く松明。アイヌは大河内たちの味方という処は気持ちがいいのだが、しかし駆けつけるアイヌたちは多分考証などなくて、ただ西部劇の真似がしたかったのだろうと思われた。藩邸でのアイヌ舞踏のシーンもあるが、いかにも疑わしい。考証担当も明示されていないし。

「ごろつき船」は密航船のことで、原作はベトナムまで巻きこむスケール大きな物語だそうだが、映画は松前藩における八幡屋と赤崎屋のいつもの対決話に矮小化されて平凡。若杉紀英子時代の若杉嘉津子もまた別嬪、大映時代ですな。大河内伝次郎は丹下左膳でなくても殺陣で両足揃えて飛び回るのだと感心。

(評価:★3)

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