[コメント] 山猫リュシュカ(1921/独)
主な舞台は、雪の山岳地帯の砦と、山賊達のアジトの二カ所。様々な形にマスキングされた画面が特徴だ。言葉に書くのは難しいのだが、画面四隅に黒枠があり、画面の真ん中に被写体が映っている、というような様子でいろいろなパターンの黒枠が使われている。
中には、砦内のアーチ型の天井の形がそのままマスキングに使われていたりする。あるいは、スマホ動画のフレームのような縦長画面にも驚く。ただし、当然ながら画面は小さくなるので、そのデメリットも大きい。
ドイツ時代のルビッチ作品の中でも有名なコメディだが、笑える場面では、何と云っても第一章の、モテ男の中尉が町の駐屯地から左遷される部分だろう。町中の女達の見送りの過剰さ。沢山の子供達が「パパ」と叫ぶ。これには大笑させられる。あとは、砦の中での追いかけ合いで、ポールをぐるぐる回るナンセンスさや、ラストの滂沱の涙の表現か。実は、これら以外では、それほど可笑しいと思った場面はなかった。ただし、第三章の祝勝パーティにおける砦の内装、この美術は凄い。ハリウッドのミュージカル映画の大プロダクションナンバーのセットのようだ。あと、第四章冒頭のリュシュカの夢を表現する二重露光も印象に残る。有名サイレント映画って、結構この二重露光演出が頻出する。みんなこういうのをやりたがるんですね。ごくワタクシ的には、リュシュカにお尻を打って欲 しがる山賊二人のシーンが好きです。
さて、二人の人物(リュシュカと中尉等)を横に並べた(雪上に座らせたりした)ツーショットのカットから、一人ずつ、アクション繋ぎっぽく切り取って、バストショットで抜くような繋ぎが多い。アクション繋ぎへの憧憬は垣間見える。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。