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[コメント] アングスト/不安(1983/オーストリア)

本作のスタイル的特徴として、冒頭アバンタイトルの路上や、その後、殆どのシーンの舞台となる一軒家の家屋内で見られるように、ステディカム、もしくは手持ちの移動が目に付く。またそれ以上に、クレーン大好き映画、ということが指摘できるだろう。
ゑぎ

 クレジットタイトル開けは、建物の屋根近くからのクレーンショット。窓の数で五階建てと分かる。クレーンは一軒家の敷地内でも多用されるし、ラストの町中のカットもクレーン上昇移動だ。別に驚異的なショットというようなものではないが、とても効果的な使われ方をしている。また、仰角俯瞰の使いようもよく考えられている。刑務所内を歩くカットは仰角で、対して、出所後、町中を歩くカットはかなり頭上からの俯瞰、だとか。

 それに、凄惨な暴力シーンの合い間で、ちょこちょこユーモアを挿入してくるあたりが、とても図太い演出だ。ソーセージを食べる口元のアップ。タクシーの中での靴紐。キッチンのドアノブに片足だけテープ。お婆さんの入れ歯2つ。ダックスフント。この映画、意外と笑える映画なのだ(勿論、大笑ではなく微苦笑ですよ)。ベンツのトランクに遺体を入れる場面を馬鹿丁寧に見せる部分なんて、いい加減、省略しろよ、と思いながら見たが、これも(この突出感も)、ジョーク的な感覚でやっているのかも知れない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)クワドラAS[*] t3b[*]

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