[コメント] 怒号する巨弾(1960/日)
政治家も実業家も、戦時中の悪人が金持ちになり闊歩しているのは当時、いわずもがなだった。街頭に立つ傷痍軍人への天知茂のシンパシーが映画をリアルなものにしている。「僕のたったひとつの感傷でね」。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ノアール仕立ては決まっており、足先だけ追うキャメラ、柳橋の川挟んでの車での尾行など格好いい。お堀端での現金引き渡しの待ちぼうけと脇道での突然の運転手の凶行、という展開もすごい。天知と宇津井健のライフル勝負の乱暴なカット繋ぎもいい。
ロビーで二階の外廊下から突然に天知の援護射撃をする三ツ矢歌子がいい。天知を疑い始めたかと思いきや援護する彼女。銃声を聞いてパンするキャメラが捉えるのはすでに撃ち終わった三ツ井を取り巻く白煙だけなのだった。ここが私的ベストショット。
ふたりの遊園地のカップに乗ったデートにおけるフレンチ風の音楽、愉し気な三ツ井の横で真顔の天知、というカットも素晴らしい。池袋らしい西武デパートの追いかけっこもいい。代々木駅南口は鉄道高架以外はすっかり様変わり。渡辺の劇伴はウォーキングベース全面に出したりして相変わらず素敵だが、終盤のミュージックソーはイマイチに聴こえた。
ただ、ラストのススキガウラ、一本道の宇津井・天知の対決は評判高いが、私は余り撮れていないように思う。米軍機飛ぶラストショットで主題が回想されている。
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