[コメント] シン・エヴァンゲリオン劇場版(2021/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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さあ、何から話そうか。ネタバレReviewといえ、あまり言いすぎるのも野暮なので、遠回しな言い方するかもしれません。まずは、いきなり新所原駅(看板だけで、実際の景色は天竜二俣駅)が出てきたので、びっくりしました。愛知県民としては、わりと馴染みのある場所だったし、天竜浜名湖鉄道乗ったことありますが、『君の名は。』の飛騨古川駅以上の「聖地」になるかも。
映画としては「Q」を補完する描写が多かったです。英語題が「3.0+1.0」なのも、そういう理由でしょうか。そして「なつかしい人達との再会」。なんとなく「ほっ」とできる前半。農作業とか、お風呂とか、読書とか、そういうことに安らぐあとの「さよなら」は驚かされた。「別れ際に、さよならなんて、悲しいこと、言うなよ」
そしてアスカ。なんだか「裸」シーンが多すぎるのは、あまりいい印象じゃないが、「人」として一番成長していたと思う。今回、また露骨にフラグが立ったが、アスカの存在意義が全部塗り替えられてしまった。苗字を「式波」にわざわざ変えたのは、そのせいなのか?と勝手に想像したが、どうなんでしょうか。「あんたバカぁ?」
そして存在意義が変わったもう一人、マリ。「破」で登場したときは「属性てんこ盛り」で「個性」がなかったし、今回も相変わらず「ニャニャニャ〜」とか言っていたけど、ようやく最後に「居場所」ができた。貞本義之氏のマンガ版「エヴァ」の一番最後に、マリが登場する話があったが、それを生かしたのか、最初からこのためにマンガに書き加えたのか。「モード反転、裏コード」
そして最後まであいまいだったのが、カヲル君。わざわざ加地さんまで引っ張り出して、「渚指令」って。エヴァシリーズ全般にいえるのが、カヲル君人気に引っ張られすぎたのかな?という印象です。「僕は君に逢うために生まれてきたのかもしれない」
「序」「破」をちゃぶ台返しした「Q」で一番矛盾が生じたのがゲンドウ。最初から何か裏目的があったとは思うが、「ネルフ」という組織と「ヴィレ」がなぜ分かれたのか、そこは最後まで描かれなかった。ゲンドウの目的は、結局は「旧劇場版」と変わっていないのだが、もう「使徒」と「エヴァ」の区別も曖昧だ。そう意味の「つじつま合わせ」は失敗したと思う。「その為のネルフです」
今回、私がエヴァの登場人物のなかで一番好きな「冬月先生」。過去三作はずっとゲンドウのお守りだったが、今回は「見せ場」があったのは、ちょっとだけうれしかった。「覚悟」があった人だと思う。「見送る」ためにマリを遣わせた場面はよかった。でも、でも本当は、ゲンドウとは別のベクトルで「やるべき事ができる人」だと思っている。本来ならば「組織のNo.2」って大事だ。「No.2」がしっかりしていればこそ、下の者が動けるんだ。しかし新劇場版通してでは冬月先生は「No.2」ではなく「ゲンドウのお守り」の役目しか与えられなかったのが悔しくて。「また恥をかかせおって」
愚痴っぽくなったので話を戻すと、「シン」という映画としては、いい幕引きだったと思う。終盤に「初号機 Vs. 13号機」の場面で、ミサトの部屋や学校で戦った場面では笑ってしまった。これは映画を観ているものの記憶に寄り添う「サービス」だったのかな?。そして「初めての、そして最後の親子の会話」。ゲンドウもシンジと同じだった。そしてユイは「そこ」にいた。できれば、「冬月先生の教室」の場面も欲しかったね、最後のマリを考えると。そして、ゲンドウの「願い」は、大切な人を亡くしたすべての人の願いと同じだ。誰かのセリフで、「辛いのは、あなただけじゃない」というのがあったが、それはゲンドウにこそ掛ける言葉。言うのは誰だ?ユイがいないので、それはやはり冬月先生しかいない気がするが、結局シンジに役目は回ってきた。最後に解き放たれたゲンドウの顔が見られてよかった。「あの人はとてもかわいい人なんですよ、みんな知らないだけです」
シンジ君は後半に急に物わかりが良すぎるようになったが、前半のイジイジからしたら、それでいいです。「動け!動け!今動かなければどうにもならないんだ、だから、動いてよ!」
この映画の中で私が泣いてしまった場面が一つ。なぜかミドリと鈴原サクラが銃を向けるシーン。ここでの「ミサトさん」に泣いてしまった。「行きなさいシンジ君、誰かの為じゃない、あなた自身の願いの為に!」
劇中で流れる曲は、ちょっと微妙。特に「VOYAGER」は、ユーミンに失礼。「ぶざまね」
ああ、エヴァもこれで(多分)見納め。ちょっと寂しいが、三度目の正直で、ようやく「ちゃんと幕引き」できた気がします。最後のシーンで、ここでこそ「おめでとう」のあのシーンが似合うと、ちょっと思った。心の中で「おめでとう」とシンジ君に伝えたよ。「僕はここに居てもいいんだ」
おまけ:最後に宇部新川駅が登場するシーン。庵野監督の故郷らしいが、駅前のホテルの方はびっくりしたでしょうね。シンジ君、背、伸びたね。
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