[コメント] AVA/エヴァ(2020/米)
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ドイツ軍(?)の将校を自然死に見せかけて殺そうとするミッションのシーン。将校の側近2人が異変に気づいて寝室に踏み込んできます。突然始まる肉弾銃撃バトルの迫力・鮮やかさはもちろんですが。同じフロアにいる護衛たちは当然ある程度事情を知っているとして、下の階から駆け上がってくるMPたちは、上官の泊まるフロアで異常な事態が発生したとだけ認識してやってきてるだけなので、犯人=女暗殺者の顔も存在も知らないから、恐怖におびえる宿泊客が助けを求めてきたという「フリ」が通用する、てなシーンが好きなんですな。映画における独特の「リアルさ」の地平が新たに切り開かれたように思って関心しました。こういうところが映画を観る喜びであり、醍醐味です、僕なんかにはね。
まあ、展開を追いきれてないところはありますけど。
その伝で言うと、コリン・ファレルがあんだけ暗殺ビジネスの「正論」を吐きまくりながら、現場から離脱するのにただ足を引きずりつ立ち去るだけ、てなシーケンスに弱さを感じます。エヴァ(ジェシカ・チャステイン)があの場を逃げ延びるわけないと踏んだということなのでしょうか。結局エヴァに 追いつかれ、しみじみ、いやあっさり殺されてしまうだけなんて。
主要な登場人物がみな、弱さを持っているというか、内面に問題を抱えているという設定も面白かったです。それも、取って付けたようなと言ってしまえばそれまでですが、物語の設定とちゃんと辻褄が合っている。エヴァの母親(ジーナ・デイヴィス)なんて、自分の表面的な幸せを取り繕うために、覚悟の上で娘を犠牲にし、でも腹の底ではそれを後悔してもいる。娘にそんな気持ちを告白する機会はないだろうと自覚しながら人生を生きてきたはずだが、でも今がそのチャンスだと悟ってそれを言う。こんな複雑なキャラクター、ジーナでなけりゃ演じられないよなとあっさり、いやしみじみ思いながら映画を観る。テルマも生き永らえて成長できて良かったなと思う(←?)。これが映画を観る楽しみでなくてなんでありましょう。
マルコヴィッチも、浜で釣り糸を垂れて釣りをするシーンが、こちらに背を向けていたので、頭の中で反転させているのかもしれませんが、やっぱり『父ありき』に見えてしまうのだよね〜。
◎は二重丸の意味です。でも、エヴァは間違いなく重度のアル中まっしぐら。続編があるとしてもそこからになるから、難しいのではないか。
80/100(24/6/22録画BS視聴)
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