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[コメント] アンモナイトの目覚め(2020/英=豪=米)

大英博物館に運び込まれるイクチオサウルスの化石で始まり、展示されている、同じ化石で終わる。本作も全編全カット、手持ち撮影かと思って見ていたのだが、ラストカットのみ固定ショットだ。画面は微動だにしなかった。
ゑぎ

 こゝでも、2人の人物、ケイト・ウィンスレットシアーシャ・ローナンの、無言の切り返しがスリリングでいい。ちょっと寄り気味の画角が多いけれど、それはそれで、二人の表情もあいまって、厳しさが良く出ている。ウィンスレットの男性社会批判と閉ざされた心性、ローナンの夫のモラハラから来る気鬱の思い込み、といった描写も前半の冷徹なムード醸成によく寄与している。ローナンの病み上がり、病気回復辺りから2人の微笑が見られるようになり、さらに良くなる。海岸で、ウィンスレットを左端に、右奥にローナンを映して、ローナンだけに焦点を合わせたカットなんかは、ウィンスレットの感情の変化を上手く表現する。音楽会でフィオナ・ショウと仲良くするローナンを見るウィンスレットの場面も息詰まるカッティングを見せる。

 そして情交シーン。どうせウィンスレットばかり露出が多いのだろうと思っていたが、確かにそれは間違いではないが、ローナンも、ちゃんと乳房を見せるのだ。これしきのことだが、感激してしまった。ローナンも、とてもよく頑張ったと思う。

 アンモナイトは、閉ざされた心。そして女性器と口淫。ちょっとありきたりなイメージか。勿論、映画が何を喚起するかは、何を描くか以上に、見る者の受け止め方次第なのだから、ありきたりは私自身への言葉にもなるのだが。

(評価:★3)

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