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[コメント] クライ・マッチョ(2021/米)

荒野の真ん中でマチズモを叫んだ老人。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







卒なくまとまったロードムービーあるいはバディムービーという印象。地味だし平凡な物語で、足取りもこわばるクリントイーストウッドだから面白かったんだと思う。イーストウッドに惹かれてついこの「なんてことのない」物語を最後まで観て、少しじんわりとすることができた。

「あんたは昔マッチョだったけど今はもうそうじゃない」と自他ともに認めざるを得なくなった男が、弱くなってもなお「かっこよく生きる」とはどうすればいいのか、この映画にはそれが描かれている。まずは一般的に言われるマチズモの全面否定。「なんでも知っている気になっていた、バカなことだ」と。女性には優しく絶対に傷つけるような言い方をしない。尊敬をちゃんと「口にする」。身の回りの細々としたことが自分でできる、いわゆる男が女性に押し付けてばかりで、自分では何一つできない「家事」が一通りできる(食事を作ったり、子どもを寝かしつけたり)。プラス、動物の病気をみたり、車やジュークボックスなどのいわゆる「機械」は直してしまうという、女性にはできないことがいくつかできる。もう腕力なんかなくたってこれでモテモテだぜ、と。そして少年には進むべき道をこう示してやればいい。本当のマッチョというのは、自分で自分の正義を決めていくことのできる男だ、と。

どうだい、これならすぐ昼寝したくなるようなヨボヨボになってしまったとしても、十分かっこよく今を生きられるぜ、という、今どきのマチズモの提案なのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)けにろん[*] 3819695[*] 死ぬまでシネマ[*] プロキオン14 緑雨[*]

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