[コメント] 絶頂姉妹 堕ちる(1982/日)
廃車の山に潜み、半透明のガラスやプラスチック片をかざして天を仰ぎ、殺人被害者の似顔絵を鏡のように見つめる女は、どん底から逃れようともがく分けでもなく、といって「今」を良しとするでもなく、生来なのか境遇がそうさせたのか、ふわふわとこの世をさまよう。
そんな“生気”の抜けた美加という女を化粧っ気のない倉吉朝子が公演する。そして女がついに真紅のルージュを引いたとき、止めどない怒りとともに“生気”は甦り、その牙はスクリーンを鮮血で染める。餌食となったのは、何だったのだろう? 男でも、姉や母でも、社会でもなく、あらゆるものとの「関係」なのではないだろうか。
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