コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恋狂い(1971/日)

エロ劇画定番の淫乱地獄巡りは当時新しかったのかどうか、いろんな人がいるなあという感想。序盤はミステリアスないい雰囲気があったが、アントニオーニはほめ過ぎ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







新婚の船員大泉隆二が航海から二カ月ぶりの帰還。妻の白川和子の名前呼び、船長に「実は震えが来ちゃっているんです」と性欲をあからさまに語るのがポルノ映画の主題を告げて大らか。タイトルバックでは白川が悶えている。物語の前振りなのだがここだけ独立で面白い。神戸が舞台。妻失踪で点けっぱなしの深紅の卓上ランプとか斜線引かれたカレンダーとか、やたら盛り上げる。この序盤はいい雰囲気があったが、アントニオーニはほめ過ぎ。

白川のベッドの角に股間当てる耐えられない性欲描写というのがネタなのか深刻なのか、女の性欲を描写してロマンポルノのフェミニズムという評価もある。人それぞれとしか云いようがないのだろう。物語はエロ漫画好みの白川の男漁り。土建現場で上半身裸の男の喧嘩から目が離せなくなり、続いて交わるトラックの運ちゃんの強面の顔がいい。白パンツふたりの男に弄ばれる白いラブホテル、白川の白い下着という組合せが私的ベストショット。大泉の元カノの復讐という付け足しは女優の人数増やす手法に過ぎないが、白川をシンガポールに売り飛ばす龍夫人と顔に蝙蝠の刺青した老人との3Pはブラックなコメディでいい。大泉が妻追いかけて出港するのがポンポン船なのが予算不足っぽくて侘しいが、夫の心境の反映と善意に読みたい。

シンガポールは夫の寄港地だと白川は云うのだが、それならマンションに帰ればいいのにと思わさるのはホンの欠点だった。興味深いのは大泉も耐えられなくて行ったファッションマッサージでお姐さんが、海外進出を目論む動機として、ドルショックで不景気、海外で儲けるオンナが多いと語っていること。この第二次ニクソン・ショックは8月15日、映画公開は12月1日。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。