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[コメント] オーソン・ウェルズのオセロ(1952/米=仏=伊=モロッコ)

シェイクスピアがいまでも手を変え品を変え頻繁に映画化され続けている理由は、ひとえに彼の物語が普遍性をもっているに他ならない。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







嫉妬から悪巧みを弄して姑息な手段を用いるイアーゴー、それにまんまと乗せられるオセローは馬鹿正直にイアーゴーのことばを信じてしまうが、なぜかデズデモーナのことばには耳を貸さない。その時点でイアーゴー>デズデモーナの図式が成り立つ。そこにはたぶんに男女間の格差が愛情とは違うところで成り立っていた時代性を感じる。

デズデモーナの受動性は今からすると時代を感じさせるが、イアーゴーの小心でありながら悪巧みに長け邪気に塗れた性格と、オセローの偉大な軍人でありながら人の心の裏を読めない無邪気さの対比は、それが単純であるが故、感情移入を容易にさせる。

オセロ』の面白さは、軍人としては立派でありながら人間観察に劣っていた彼の弱さから来るところであり、嫉妬、疑念、不信、裏切りなど時代は違えど現在でも変わらぬ人間の脆さ、弱さが描かれているからだと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐

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