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[コメント] ニューオーダー(2020/メキシコ=仏)

ファーストカットは絵画(抽象画)。続いて短いショットのモンタージュが数ショット入る。暴動やテロの様子。緑のペンキが付いた裸の若い女性が真ん中にいるショットだとか。フラッシュフォワードかと思ったが、そうではなかった。観客の不安を煽る目的か。
ゑぎ

 続いてヒロイン−マリアンの結婚式の様子が描かれる。彼女は政府の要人(相当のお金持ち)のお嬢さん。邸宅の中の、人物の出入りの演出が面白い。多くの登場人物を、上手くさばいている。この場面でも緑色の水道水のシーンがある。この趣向をもっと上手く見せて欲しかったとも思う。

 そして、8年前に辞めた使用人が、妻の手術費を借りに来る。この後、多くの登場人物の、善意や希望が悉く反故にされていく過程が見せられるのだ。

 さて、これ以上プロットに絡む事柄を書くことは控えるが、ちょっと露悪的な(作り手側の偽悪的な)描写が過ぎるのではないか、という不快感を覚える人も多いだろうとは思う。しかし、この底無しの暴力への恐怖は衝撃だ。私には、作り手は、決して観客を不快感で一杯にするのが目的ではなく、あくまでも真摯な警告か、あるいは、純粋に作り物としての図太い面白さを狙ったもののように思える。よくこゝまで描いた、という一種の突き抜けた爽快感を覚えたのだ。粗はあるが、良い映画だと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH[*] シーチキン[*]

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