[コメント] ファミリー・ネスト(1977/ハンガリー)
16ミリの白黒、至近距離の顔のアップでほぼ全編構成される。登場人物が口にするのは不平不満に愚痴と不安。家族で過ごす遊園地のシーンが唯一の救いだ。22才の映画学科の学生タル・ベーラがこんな特異作品を撮ったのは体制に対する鬱憤、それとも異才ゆえか。
70年代の西側諸国の若者は前世代が引きずる権威主義や、歯止めをなくした消費資本主義の矛盾に反発していたが、そのころハンガリーの若者は一党独裁制が作り出す"平等という正論”の矛盾に彼らの未来を阻まれていたのだろうか。
アコースティックギターと男性コーラスが美しい(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングみたいな)フォークソングが3曲流れる。このいかにも70年代なフォークソングが、当時の東西両極にいた若者の“共通の気分”をつないでいるかのようだった。
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