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[コメント] ある男(2021/日)

一連のラストが、洒落ているというか、印象的というか、あるいはあざといというか、ともかく「うーん」となるというか、考えさせるものだった。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







時に、今と違う人生を生きてみたい、もし別人になれたら、というのは程度の差はあれ、誰もが一度は思うことではないだろうか。それは、ただの憧れめいたものだったり、気のまよいだったり、他愛もない現実逃避の空想に過ぎないものがほとんどだろう。

でも、それを熱望し、あらゆる手段を講じてでも現実に実行したいと願う人の悲しみとはどういうものだろうか。そこまで追いつめられた人の苦しみとは、どれほどのものだろうか。

そういうことを考えることが、不寛容の蔓延する社会を少しでも良くする道ではないでしょうか、と、そんなことを言いたかったのだろうか。

そしてまた、そんなことを考えないで済むからといって、幸せな人生だとは限らないのではないですか、ということも言われたのではないだろうか。

柄本明の存在感と、妻夫木聡の重い憂いが印象に残る。安藤サクラは不幸と言えば不幸だが、ある意味、幸せな悲しみを演じたのかもしれない。

(評価:★4)

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