[コメント] 夜明けの夫婦(2021/日)
コロナ禍で母を亡くした姑(石川彰子)の孫が欲しいという願望と、それに応える律儀な嫁(鄭亜美)の焦燥は、夢とも妄想ともつかぬ幻視となって「現実」を攪拌する。二人は雌の本能として“生命連鎖”の危機を察知しているのだ。なのに男たちの呑気なこと。
二世帯住宅の一階で交わされる会話と、二階で実践されるセックスの虚しい距離。 リモート勤務から出社を経て単身赴任に至る夫(泉拓磨)と妻の距離。コロナ禍で会えなかった不倫相手の性生活を詮索し距離をはかる愛人。遠巻きに観察しながら急に距離を縮めてくる職場の先輩。嫁を飲みに誘って一気に距離を縮める舅(岩谷健司)。久しぶりに再会する教え子や故郷で暮らす妹。遠すぎたり近すぎたりと、みんな「距離」に翻弄される。
この二組の夫婦のコメディは、人と人の「距離」と、その“あわい”についてのスケッチだ。子づくりだって、精神的にも物理的にも、相手との距離を可能な限り埋めて“密着”しないと成就しないのだ。
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