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[コメント] セイント・フランシス(2019/米)

状況や心情が揺らいだり変転するような事象は何も起きない。そんな顛末に見えてしまう平板な語り口だが三十路の子守り女ブリジットは周囲の無邪気な同情や侮蔑、妊娠や体調不純、軽率な恋愛衝動、レズカップルの育児不安や嫉妬不和と、厄介な現実に直面している。
ぽんしゅう

そんな女性の“面倒”を声高に訴えたたり“不自由”を叫んだりしない不思議な語り口のジェンダー映画だった。脚本も担当したケリー・オサリヴァンの喜怒哀楽を露わにしない、ちょっと鈍感そうにすら見えるブリジットのキャラクター作りが成功している。さらに、女にとって当たりまえのこととして頻出する「経血」描写と、その対極に配置された聖なる女の子フランシス(ラモーナ・エディス・ウィリアムズ)の“女”の連続性の妙だろう。

正直、男の私はこのストレートさに圧倒されタジタジだ。前日に観た『さかなのこ』で喝破された「男とか女とかどっちでもいい」のひと言に動揺し納得したばかりなのに。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)disjunctive[*] ゑぎ[*]

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