[コメント] 辻占恋慕(2022/日)
2人は初対面だが、代奏してもいいと早織が云い、本番で一曲だけ唄う大野から早織の曲になって、タイトルインする。カッコいい!センスのあるアバンタイトル〜タイトルインだ。
2019年への時間経過の表現がまたいい。オーソドックスとも云える見せ方だが、カセットテープで早織の歌を一曲流しながら、場面(時空)を2回飛躍させるのだ。大野はスーツ姿で、早織のマネージャーになっている。他にも、特筆すべき演出は多々あり、私は、事務所のメンバー(4人)でお花見をするシーンが好きだ。俯瞰から流麗な移動ショット。演歌歌手という琴美−川上なな実が、川べりで唄う場面(「庭の千草」をアレンジしたような曲)も特別な時間が定着している。
また、編曲者なのか、一里塚−濱正悟の録音スタジオ(セカンドハウス?)に早織が呼び出された場面の電流プレイ(?)の見せ方も、ぶっ飛んでいて好き。この撮影者(中瀬慧)は、なかなか上手いと思う。電流繋がりで云うと、スタンガンが3回出て来る見せ方も効くし、その他の繰り返しだと、嘔吐および嘔吐の抑制が早織で2回、大野で1回ある。段ボールのコクーンも2回出て来る。
ちょっと難点と思った部分も書いておくと、大野と早織との関係の描写に、ロマンチックな心持ちが、ほとんど表現されていない点だ。フラッシュバックで誕生日のシーンが挿入され、ラブシーンは、誕生ケーキにパンして割愛されるけれど、二人の演技は照れのようなものが表出しているだけで、力のない画面だと私は思った。とは云え、終盤の高円寺のライブハウスのシーンで、まず、二人が階上から客の入りを見た後、視線を交わして会話する演出はいいし、その後の舞台上の場面では、こんな展開になるとは思ってもいず、吃驚してしまったが、満足度が上がったのは確かだ。映画は観客を吃驚させてナンボだと思うから。
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