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[コメント] ロストケア(2023/日)

映画自体は胸に迫る程では無いが、色々な事を考えさせる。そんな映画もあり、私にとってはこれはそんな映画だ。☆3.4点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







孤独死は何も悪い事では無いと思うが、長澤まさみ演じる検事の父親は娘に何度も助けを求め、娘はそれを無視した挙句に孤独死に追いやった。これは直接の殺人とは全く異なるが、私自身は矢張り一つの殺人だと思う。そしてこの種の殺人は、周りにも満ちていると感じている。

肉体死に至れば殺人だが、それ以前に心を殺す殺人もある。私も何度も殺し、何度も殺された。社会や国家が、個人や特定の地域を殺すのを目の当たりにしてきた。

そこで開き直る事を私は善しとしない。かと言って大胆な一歩にも踏み出せない。開き直る欺瞞を醜いと感じ、しかしそこに自分の醜さを見、怒りと時には憎しみさえ感じ、しかしどうしようもなく共感している。開き直る事で正義としない、それだけを何とかよすがにしている。

話は変わるが、父と母が作った夫婦と家庭にも欺瞞はあった。しかし人間の弱さと繋がりは学んだと思う。ところが、私は自分の連れ合いや子供とはそうした関係を築けた自信が無い。何を間違えたのか。どうすれば良かったのか、とよく考える。子供には人間の愚かさを伝えたい。弱さを伝えたい。そんな事を考えた。

(評価:★3)

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