[コメント] ザ・ホエール(2022/米)
主要登場人物が5人のみの、戯曲を元にした室内劇。今どき珍しいスタンダード・サイズの画面が、主人公のビジュアルと相まって閉塞性を強調する。
主人公がどうしてこんな姿、こんな生活になってしまったのか、どんな人間性の人物なのか、重ねられるダイアログと回想でそれが少しずつ明らかになっていく過程は、ミステリを読み進めるかのような趣きがある。
超肥満で身動きの取れない主人公の姿は、『ギルバート・グレイプ』の母を想起するし、状況やキャラクタの設定一つ一つはそこまで新奇なものでもないのだが、ラストに至り、真相と真の想いが明らかになる展開は、ライティングの神々しさと相俟って予想を超えて胸に迫る。『レスラー』のミッキー・ロークと同じく、現実世界におけるブレンダン・フレイザーの苛烈な生き様が、主人公のそれと重ねられ、感慨を増強する。
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