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[コメント] 苦い涙(2022/仏)

ジャンル不明の郷愁と他人の見苦しさに爆笑する悲喜劇。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







面白かったんですよねえ。ゲラゲラ笑っちゃった。本人は真面目に真剣にジタバタしてるんだけど、それが見苦しくって、その様を傍から見ると可笑しくって仕方がない。という映画。

いろんなことをやってくるオゾンの中では、『8人の女たち』がタイプとして近い。なんだか凄いものを見せられたようなような、そうでもないような……。真面目に観るべき映画なのか、コメディー的に観るべきなのか、よく分からない(笑)。そういう感覚。

なんでも、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの作品を翻案したということですが、ファスビンダーとヴェルナー・ヘルツォークがごっちゃになるんだ。『アギーレ/神の怒り』はどっちだよ?ヘルツォークか。観てないけど。じゃあファスビンダーは何だよ?ああ、『マリア・ブラウンの結婚』か。やっぱり観てないけど。

余談ですけど、劇中「ゼフィレッリの映画に出てる」「あのオペラ野郎か!」みたいな台詞がありますけど、フランコ・ゼッフィレッリのことでしょうね。そこではたと思ったんですが、どうして現代に置き換えずに70年代初頭のままの設定だったんだろう?

それが意図されたものかどうか分かりませんが、私はごつい映画のカメラとフィルム編集にグッときたんです。そのために時代設定を変えなかったとは思いませんけど、でも現代だったら、コンパクトなビデオカメラかスマホで撮影して、PC画面かせいぜい大きなモニターで映し出したでしょう。フィルムを編集しているシーンを入れるんですよ。おそらく意図的に。これはある種、監督の郷愁のようにも思えるんです。いや、きっと映画監督としての「愛」なのでしょう。そもそも、こんな時代に劇場映画なんか撮ってること自体が「見苦しいほどの愛」かもしれないという、オゾンの自虐映画なのかもしれません。

(2023.06.04 ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞)

(評価:★4)

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